そこで、ChromeをRAMディスクに“丸ごと”移動して、起動を含めたすべての動作を超高速化する。今回は、Windows 10 をベースにその具体的手順を分かりやすく解説する。
まずは、しくみの説明から。Chromeが参照するファイルをすべてRAMディスクに移動させる。そして、Chromeが起動したら、移動先のファイルが参照されるように細工する。これには、“junction”と云うWindowsツールを利用する。このツールはWindowsに於いて、シンボリックリンクを実現する。簡単に云えばショートカットのようなもの。実態ではなく、リンク先へ誘導するだけ。
RAMディスクの準備
RAMディスクを実現するフリーソフトは様々存在するが、筆者が特におすすめなのが、QILING Disk Master Free である。数少ない、Windows 10 対応のフリーソフトである。↑ [Tools and utilities] → [Create ramdisk] (作成以降は Modify ramdisk)
↑ 今回はRAMディスクに2GBを割り当てる。 [Save ramdisks data] にチェックを入れて、シャットダウン時にRAMディスクの内容が消えないようにする。
junctionの準備
Junctionをダウンロードする。zipファイルなので解凍して、「junction.exe」を C:\ にコピーする。(コピー先はどこでも構わないが、コマンドプロンプト画面で利用しやすくするため。)※拡張子を表示するように設定すれば .exe が現れる。エクスプローラの「整理」→「フォルダーと検索のオプション」→「表示タブ」→「登録されている拡張子は表示しない」のチェックを外す。
※隠しフォルダを表示させるには、エクスプローラの「整理」→「フォルダーと検索のオプション」→「表示タブ」→「隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する」を選択する。
一時的に「ユーザーアカウント制御の設定」を変更
作業の最終段階で・・・[junction "C:\Program Files (x86)\Google\Chrome" "Y:\Google Chrome"]
と云うコマンドを叩くが、規定の設定だとエラーになる。これを回避するためには、一時的に「ユーザーアカウント制御の設定」を“通知しない”に引き下げる必要がある。なお、設定変更の有効化にはパソコンの再起動が必要となるため、一連の作業の前に設定を変更しておいたほうがよいだろう。
※[設定] で検索欄に「ユーザー」と入力して Enter キー を押下。「ユーザーアカウント制御の設定」をクリックする。
Chromeが参照するファイルをRAMディスクに移動
Chromeが起動している場合は終了する。RAMディスク(Y:)に “Google Chrome” と云うフォルダを作成する。そして、次の2つのフォルダを “Y:\Google Chrome” にコピーする。※コマンド中の “jkun” は環境に合わせて変更する。
["C:\Users\jkun\AppData\Local\Google\Chrome\User Data"]
["C:\Program Files (x86)\Google\Chrome\Application"]
コピーが完了したら、次のフォルダを削除する。
["C:\Users\jkun\AppData\Local\Google\Chrome"]
["C:\Program Files (x86)\Google\Chrome"]
これで、“User Data" と “Application” が “Y:\Google Chrome” に移動したことになる。
移動先のファイルが参照されるようにする
コマンドプロンプト画面を開く。まず、「junction.exe」が存在する C:\ にカレントを移動させる。[cd ..]
[cd ..]
で2つ階層が上がり、カレントが C:\ になる。[dir] などで確認する。
そして、以下の2つのコマンドを叩く。
※長いのでメモ帳に貼り付け修正・確認してからコピペすると間違いがない。
※コマンド中の “jkun” は環境に合わせて変更する。
※途中「junction」の利用規約が出たら許可する。
[junction "C:\Users\jkun\AppData\Local\Google\Chrome" "Y:\Google Chrome"]
[junction "C:\Program Files (x86)\Google\Chrome" "Y:\Google Chrome"]
これで作業は完了。エクスプローラで・・・
["C:\Users\jkun\AppData\Local\Google\Chrome\User Data"]
["C:\Program Files (x86)\Google\Chrome\Application"]
を見ると、RAMディスクに移動したファイルが参照される。つまり、ChromeはRAMディスクに移動したファイルを参照していることになる。これで、ディスクアクセスは大幅に削減できるだろう。